悲しいイギリスの卵

イギリスの卵は、非常に悲しい。


 日本の常識ではお話にならないがスーパーに陳列している卵は割れている可能性があるため購入前にチェックしなければならないし、何故神聖なる卵がこんな仕打ちを受けなければならないのか、無惨にも卵がスーパーの床にドロップしぶちまけられている。そのあまりに卵をぞんざいに扱っているイギリス社会にぽろちは怒り心頭だが、更なる現実に打ちのめされてぽろちは意気消沈である。

なんと、イギリスの卵は生で食べられないという衝撃の情報を配偶者から知らされた。


イギリス在住者やイギリスに興味を持っている方には常識らしいが、お恥ずかしながらぽろちはエディンバラに住み始めてからその事実に直面し、光の早さで奈落の底に突き落とされた。卵が生で食べられないなんて…!これはぽろちにとって、重大な問題である。

今流行の言葉を借りれば「TKG」。醤油と卵の絶妙のコラボお手軽最強ご飯、卵かけご飯を勢い良くがっつり搔き込めないなんて、ぽろちにしてみれば人生終焉の幕を勝手に下ろされたようなものである。おまけに配偶者が仕事でいないお昼ご飯や、配偶者が飲み会でいない夜ご飯や、配偶者が寝静まった夜にこっそり食べる夜食として最適だったのに、この卵の裏切りは許し難い。

そもそも何故、イギリスの卵は生で食べられないのだろうか。
ぽろち的調査によると、イギリスの卵の殻にはサルモネラ菌がたくさん付着しており、生のまま食べるとサルモネラ中毒になるそうだ。サルモネラ菌は60℃で15分加熱すると死滅するため、加熱さえすれば問題無い。ちなみに日本の卵は殺菌されているため、生で食べても全く問題はないのだ。

ぽろちにはサルモネラ菌の危険性がイマイチ理解できないのだが、とりあえず生で食べることは危険で中毒になる可能性があり、下痢や嘔吐といった症状に苦しめられるということはわかった。だが、食べたい。別に下痢と嘔吐で済むなら、耐えられる。食べたい。

しかし、いくら生で食べられないからと言っても、半熟の目玉焼きやポーチドエッグ等が存在しているのだ。本当は本気出せば食べられるはずにも関わらず、イギリスでは、生卵食べられない詐欺を働いているのではないだろうか。疑いだせばキリがないが、卵にとあるマークを見つけた。


ライオンマークがついている卵は、サルモネラワクチンを摂取した鶏からの卵らしく、サルモネラ菌がないとのことだ。卵1つ1つにライオンマークと賞味期限が印刷されており、このずさんなイギリスでも食の安全を呼びかけているのだ。完全に安心できるわけではないが、サルモネラ菌が不滅した状態の卵は、生の卵を欲しているぽろちにとっては心強い味方だ。

不安は拭えないが、物は試し。卵かけご飯を食べたくて仕方ないぽろちは、早速配偶者が不在のお昼を狙ってこっそり生卵に挑戦してみることにした。浮ついた気持ちで卵の箱を開けた瞬間、ぽろちは絶句した。

なんという不届き者、卵にニワトリの毛が付着しているではないか…。


もう、何ともあっけない終末である。毛が付着している卵を目にして、ぽろちの食欲は根こそぎ消えたのだ。僅かこの一瞬でぽろちの気持ちは急降下、「イギリスで生卵に挑戦☆ぽろちの異国TKG大作戦」はスタートラインに立つことなく終了したのである。

にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ  
Previous
Next Post »